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挨拶代わり一編


 「折角ですもの、好いじゃあ御座いません事」
「いえ、その、勿論好けないって事ぁ御座いませんがね、しかし御婦人の身には小ぃとばかし荷が重過ぎるんじゃないかってね」
 処は何の変哲もない、寧ろ殺風景のきらいのある一室である。そこで先程から口論するは一組の男女。 何やら女が男に何かを強請っている様だがさてはて。
 「あら、貴方そうは仰いますけれども、私、こう見えて鍛えていますのよ。昭和の女を馬鹿にしないで頂戴」
「いえ、でもやはりこういう物は男の為すべき一事で御座んしょう、つまり」
「いけず」
「は」
「いけず、と申したのです。貴方の様ないけずで旋毛曲がりで頑固で融通の利かない男の方がこの平成の世になっても未だ生息していようとは私、夢にも思いませんでしたわ」
かく言う御嬢も先だって昭和の女だと自分で宣ったばかりである。よくも平成の世に生きれたものである。
「生息……。御嬢様、幾ら何でもその様な御言葉、止して頂きとう御座います」
苦い顔をする男。女はここぞとばかりに攻め立てる。
「では私も加えて頂けますか」
「それは……」
「頂けないのでしたら私、何度でも言うわ。全くこの様な頑固者、今直にでも絶滅してしまえば佳いのに」
 散々な物言いである。
「ああ、何卒ご勘弁」
「では私も寄して頂けますね」
「はあ、それでは御嬢様も御参加なされたら宜しゅう御座います。しかし、あっしはどうなっても知りませんぜ」
「ええ、勿論ですわ。私が言い出した事ですもの」
 話は纏まった様である。こうして御嬢も加わり企画は進行する運びとなった。 それにしても深夜のアパアトで口論する等、全くの近所迷惑である。両者共に猛省を願いたい。





 という経緯から、無理に参加させて頂いた御嬢こと「とだ」で御座います。 この様な経緯から参加したにも関わらずサイトの立ち上げに間に合わず遅参しました事、先ずは深くお詫び申し上げます。
 重ねてお詫び申し上げたい事が御座いまして、当初私はこのサイトで長編物を掲載する予定でした。 しかしそちらが思う様に捗らず、難航しております。それでも流石にこれ以上参加が遅れては具合が悪かろうという事で、 誤魔化しという訳では御座いませんが、差し当たって短編を上げさせて頂きたく思います。 最後になりましたが、末長く御付き合い出来ましたらと思います。





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